4−0で完勝した多摩川クラシコの試合後、チームやサポーターについて考える自分がいました。
もしかしたら多摩川クラシコ前に見た、無観客試合が頭の片隅にあったのかもしれません。
ぼくの基本的なスタンスとして、サポーターのブーイングはありだと考えています。
もちろん、川崎華族を中心にフロンターレサポーターが選手たちにブーイングはしないという方針を貫いていることは理解してます。簡単なことではないと思いますが「一番悔しいのは選手だから、鼓舞する」という考えでどんなに負けても拍手するその姿勢は、それはそれで素晴らしいものだと思います。
その一方で、負けた悔しさをブーイングで晴らすやり方も理解できます。だって、応援してるチームが負けたらやっぱり悔しいですからね。
だからぼくはブーイングに関しては、それ以外のこともわりとそうですが、公序良俗や社会正義に反しない限り、本人がやりたいようにやればいいという考えを持っています。
そういうぼくのスタンスを提示した上で、今季の開幕から多摩川クラシコに至る今季のフロンターレについて考えてみます。
今季のフロンターレは、開幕から内容の良いサッカーを展開してきました。相手を押しこみ、決定機を作り出し、勝てなかった試合でも、場合によっては勝てる試合展開ができていました。
そういう自らの試合内容への自信が選手たちにはあり、チームがバラけるようなことはありませんでした。
勝てなかった試合については、失点や決定機を逃した際のミスを無くすしか無いという風間監督の考えに賛同します。サッカーはミスのスポーツだという話がありますが、風間監督はミスする事を前提にせず、ミスしないようこだわる指導を続けてきました。
そのココロは、ミスを前提にした場合、ミスしてもOKという逃げになる可能性が出てくる。その一方で、ミスを絶対悪として認識し、これを根絶する事を目標にすると、練習から考えが変わります。
多摩川クラシコには4−0で勝てました。でも、ピッチに立ったすべての選手にミスがありました。ミスを絶対悪だと認識していれば、そのミスを選手は必ず反省します。
モバフロに掲載されている試合後の動画には、2ゴールの小林悠が「いやー、気持ちいい!」と顔をほころばせるシーンがあります。
その小林は、直後に中村憲剛に「やっと取れたよ、小林!やっと決めたよ!まだ決めれたし!!」との言葉を掛けられ「レナトのパス決めれた」と反省します。
「気持ちいい!」の心境の小林は、素直に自らのミスを振り返るわけです。
「ミスは仕方ない。だから2ゴールで満足」ではなく「ミスしながらも2ゴール取れた。だけど、あのミスがなければもっと取れた」という心理につながります。
2ゴールで留まるのではなく、ミスを反省する前提に立てるのであれば、練習で技術を向上させるのだという循環がうまれます。そうしたサイクルの中にあるフロンターレは、日々選手たちが向上心を持って練習に取り組んでいます。
動画はその後、高揚感に浸る試合直後のロッカールームで選手たちに訓示する風間監督を映し出します。
「自分に集中してくれと言った。忘れるな、これだけ力がある。これだけできる。あとは何か。自分に集中するということ。この多摩川クラシコをチームの基準試合にして、さらに上を目指そうというメッセージに対し、ロッカールームの選手たちは雄叫びで応えます。そんな選手たちがタイトルを目指し、日々技術を磨いていくのは確実です。
これ(多摩川クラシコの試合内容)が普通だぜ。これが自分たちの基準。
素晴らしい戦いをしてくれた。これをいつもやれるようにね。ナイスゲーム!」
そしてそうした現場を取材してきたことで、ぼくはいつか必ず結果が出る日がくる事を信じられました。ただ、そうした現場の雰囲気を十分に伝えていたとは言えず、サポーターのすべてが負けても前を向き続けられたわけではないことも理解できます。
等々力では今季、大宮戦後にブーイングが出ました。
86分に大久保嘉人の逆転ゴールが決まった後、さらに逆転されて敗れた試合後にブーイングが出ていました。
残念なことではありますが、ブーイングした人の気持もわかります。
86分に手にしたリードを守りきれず、それどころか逆転される失態を犯したのだから仕方ないと思います。
試合後の風間監督は明らかに激怒していました。監督も激怒するような試合だった。だからブーイングするサポーターがいても不思議ではないと思います。
あの大宮戦後のブーイングにはいくつかの考えが込められていたと思っています。
例えば、内容で上回りながら、ホームでの情けない試合運びに対する抗議。
例えば、連敗したことに対する抗議。
その一方で、ブーイングを我慢したサポーターも居たはずです。
どんな試合でも、絶対にブーイングしないというポリシーを貫くサポーター。
そして、目の前の試合内容の良さを信じ、絶対に勝てるようになる。だから応援すると考えたサポーター。
大宮戦後の等々力競技場では、そんな色んな考えが交錯していたのだと思います。
コアなサポーターがブーイングを封印しているという点で、フロンターレは稀有なチームだと思いますが、敗戦に対し、様々な反応が出るのは健全な状態なのだとも思います。色々な考えの人が集っていることの証明なのだと考えます。
そして、一部のブーイングによって、川崎華族のスタンスが際立ち、それが選手に前向きに作用するのだと考えます。
とはいえ、やっぱり勝てるのが一番。勝利はみんなを笑顔にします。そして今のフロンターレは、大抵の相手に対しては、ミスの有無によって勝ち負けの主導権を握るところにまで到達したと考えます。つまり勝利は自らの手のひらの中にあるわけです。
あれだけの試合を出来たのだからといって、ここからシーズン終了まで全勝することは無いでしょう。もしかしたら再び苦境に陥るかもしれません。その時にスタジアムでどんな反応が出るのかはわかりません。ただ、ぼくは多様な人が集まるスタジアムなのだから、どんな反応にも驚かないと思います。
喜びや悲しみや怒りに限らず、あらゆる感情を解放させながら試合は続きます。そしてチームは成長し、日々進化しています。停滞を許さない風間監督のチームマネジメントの元、選手たちはタイトルを目指します。
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関連文章を追記
FC東京戦後のつぶやき
チームを信じて応援してきたフロンターレサポーターの皆さん、おめでとうございます。今夜の勝利はみなさんの勝利だったんじゃないかと思います。
— 江藤高志 (@etotakashi) March 23, 2014
名古屋戦のレポート
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